会社に縛られず、好きな絵を描いて暮らしていく。フリーランスのイラストレーターという働き方には、そんな自由なイメージがあります。一方で、「本当に食べていけるの?」「何から始めればいいの?」という不安も大きいのではないでしょうか。
この記事では、「お絵かきクリエイター®」として絵を仕事にしている私が、フリーランスのイラストレーターの仕事の取り方、始めるときの手続き、そして実際に働いてみて分かる現実を整理してお伝えします。私自身も以前はフリーランスとして働き、値上げを言い出せずに苦しんだ経験があるので、そのときのことも正直に書いていきます。
この記事のポイント
- フリーランスのイラストレーターの仕事の取り方
- 個人事業主として始めるときの手続き
- 描く以外に必要になる仕事
- 収入が安定しにくい理由と、私の失敗談
- 単価の基準がある働き方という選択肢
それでは早速見ていきましょう。
フリーランスのイラストレーターの仕事の取り方
フリーランスは、仕事を待っていても誰も運んできてくれません。どこで、どうやって依頼をもらうかを自分で決めて動く必要があります。代表的な方法は次の4つです。
SNSやポートフォリオで作品を見てもらう
作品をSNSに投稿したり、ポートフォリオサイトにまとめたりして、依頼につなげる方法です。絵柄を気に入ってくれた人から直接連絡が来ることもありますが、見てもらえるようになるまでには、継続的な発信が欠かせません。
スキル販売・クラウドソーシングで受ける
ココナラなどのスキル販売サービスや、ランサーズなどのクラウドソーシングで受ける方法です。始めやすい反面、多くの描き手と比べられるため、単価は低くなりがちです。
出版社や制作会社に営業する
出版社や広告の制作会社などに作品を送り、仕事をもらう方法です。継続的な取引につながれば安定しやすい一方で、実績がないうちは返事をもらうこと自体が簡単ではありません。
知人や取引先からの紹介
一度仕事をした相手から、別の人を紹介してもらう形です。信頼が前提になっているので、値段で比べられにくいのが大きな利点です。フリーランスとして長く続けている人ほど、この紹介の割合が高くなっていきます。
個人事業主として始めるときの手続き
開業届を出す
フリーランスとして事業を始めたら、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を出します。提出の期限は、事業を始めた日から1か月以内です。
青色申告を選ぶなら、承認申請も
確定申告を青色申告で行うと、条件を満たせば控除を受けられるなどのメリットがあります。そのためには「所得税の青色申告承認申請書」を、原則として開業した日から2か月以内に提出する必要があります。
経費と確定申告の準備
画材やソフト、パソコンなど、仕事に使ったお金は経費として記録しておきます。毎年の確定申告で必要になるので、始めた時点から売上と経費を記録する習慣をつけておくと、あとで慌てずに済みます。手続きの詳細は、税務署や国税庁のサイトで最新の情報を確認してください。
フリーランスのイラストレーターの現実
描く以外の仕事が思った以上に多い
フリーランスになると、絵を描く時間より、それ以外の時間のほうが長く感じる日もあります。依頼主とのやり取り、見積もり、請求書の作成、スケジュールの管理、営業や発信。これらをすべて一人でこなしてはじめて、描く仕事が回っていきます。
収入が安定しにくい
依頼の数は月によって大きく変わります。忙しい月に無理をして受けすぎると体を壊し、暇な月には不安で眠れない。この波とどう付き合うかは、多くのフリーランスが抱える悩みです。
いちばん難しいのは値上げ
私がフリーランスとして働いていた頃の仕事は、デザインとオンライン秘書でした。依頼をいただけること自体はありがたかったのですが、誰でも始めやすい分野だったこともあって、最初につけた安い料金から抜け出せませんでした。
値上げをお願いしたい気持ちはあっても、「この金額に見合う価値がある」と自分の言葉で説明できない。断られるのが怖くて、結局言い出せないまま3年ほどが過ぎていきました。描く、作るといった技術を磨くことより、自分の仕事の値段を決めて守ることのほうが、ずっと難しかったのです。
独立する前に準備しておきたいこと
フリーランスで長く続けるためには、描く技術とは別の準備も欠かせません。会社を辞める前、あるいは副業の段階で、次のことを整えておくと安心です。
独立前に整えておきたい準備
- 収入が少ない月があっても暮らせるよう、生活費の数か月分を蓄えておく
- 用途や条件ごとの料金表を作り、値段の根拠を説明できるようにしておく
- ポートフォリオを用意して、依頼主が完成のイメージを持てるようにする
- 見積もり・請求・入金の記録を残す仕組みを作っておく
- 継続して依頼してくれそうな取引先を、少しずつ作っておく
特に決めておきたい料金表
特に料金表は、あとから値上げをするときの支えにもなります。最初に「この条件ならこの金額」と決めておけば、個別に交渉する場面を減らせるからです。私も当時これができていれば、もう少し違っていたかもしれません。
フリーランスのイラストレーターに向いている人・向いていない人
向いている人・向いていない人の特徴
| 向いている人 | 向いていない人 |
| 自分で予定を管理して、コツコツ続けられる | 決まった給料がないと不安が大きい |
| 描く以外のやり取りや営業も苦にならない | 描くこと以外の作業はできるだけ避けたい |
| 自分の仕事の値段を説明し、交渉できる | 値段の相談や交渉がとても苦手 |
向いていない側が多くても、あきらめなくていい
向いていない側に当てはまるものが多くても、あきらめる必要はありません。苦手な部分を仕組みで補える働き方を選べば、絵を仕事にする道はほかにもあります。
単価の基準がある「お絵かきクリエイター®」という働き方
フリーランスでありながら、値段の基準がある
私が今している「お絵かきクリエイター®」も、個人で仕事を受けるという意味ではフリーランスです。依頼主は企業や個人事業主で、会社の想いやサービスの魅力を聞き取り、見る人の心に残るストーリーに組み立てて、「お絵かきムービー®」というプロモーション動画に仕上げます。映像は、ホワイトボードに手描きの絵と文字を描き進め、ナレーションとともに伝える形です。
手描きで説明するだけの動画なら、よく知られた「ホワイトボードアニメーション」と変わりません。ストーリーを組み立てるところから担うのが「お絵かきムービー®」で、名称はどちらも株式会社アクアフィールドの登録商標です。一般社団法人 国際じぶんストーリー協会の認定を受けた人だけが名乗れます。
フリーランスのイラストの値段が下がりやすいのは、比べられやすく、下限のない市場で戦うからでした。この協会は「お絵かきムービー®」の最低単価を35万円と定めているので、自分ひとりで値段を守らなくても、最初から価格競争に巻き込まれずに済みます。値上げを言い出せずに苦しんだ私にとって、これは何より大きな違いでした。
営業や納品まで、学ぶ中で経験できる
認定を受けるには、株式会社アクアフィールドが運営するクリエイターズアカデミーというスクールで学びます。描き方やストーリーの組み立て方だけでなく、認定を受けたあとの営業・案件獲得から、実際にクライアントへ納品するところまでがカリキュラムに含まれているのが特長です。フリーランスがつまずきやすい「仕事を取る」部分を、一人で手探りしなくてよいのは心強いところです。
案件は口コミで広がりやすく、納品したクライアントから紹介をもらえることも多いので、実績が増えるにつれて依頼は安定していきます。フリーランスの悩みだった「次の仕事があるか」という不安とも、少しずつ距離を置けるようになりました。
フリーランスのイラストレーターに関するよくある質問
Q. 会社員のまま、副業から始められますか?
始められます。いきなり独立するより、副業で実績と取引先を作ってから独立するほうが安全です。ただし、会社の就業規則で副業が認められているかは、事前に確認しておきましょう。
Q. 個人事業主になると、何が変わりますか?
開業届を出すと、事業として確定申告をすることになり、青色申告を選べば控除などのメリットも受けられます。取引先によっては請求書のやり取りや、インボイスへの対応を求められることもあるので、仕事の規模に合わせて準備を進めましょう。
Q. 未経験からフリーランスのイラストレーターになれますか?
資格は必要ないので、誰でも名乗ることはできます。ただ、実績がないうちは仕事を取ること自体が難しく、単価も低くなりがちです。イラストレーターになるまでのルートは、こちらの記事でも詳しくまとめています。
まとめ:自由な働き方だからこそ、値段の決め方を考えておく
フリーランスのイラストレーターは、仕事の取り方も働く時間も自分で決められる、自由な働き方です。その一方で、描く以外の仕事の多さ、収入の波、そして値上げの難しさという現実があります。
これからフリーランスを目指すなら、技術と同じくらい「自分の仕事の値段をどう決め、どう守るか」を考えておくことをおすすめします。絵を描く仕事の種類はこちらの記事で一覧にしているので、働き方を選ぶときの参考にしてください。


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