「イラストレーターになるには」で検索してこのページに来た方は、おそらく絵を描くのが好きで、それをいつか仕事にできたらと考えているのだと思います。美大生や専門学校生、独学でSNSに作品を投稿している方、会社員として働きながら副業を考えている方——立場は人それぞれですが、共通する疑問はだいたい同じです。「実際どうやって仕事にするのか」「本当に食べていけるのか」。
「絵では食べていけない」という言葉は、SNSでも知恵袋でも繰り返し出てきます。私自身、この言葉を何度も目にしてきましたし、実際にその通りだと感じる場面も少なくありませんでした。この記事では、イラストレーターになる一般的なルートと、その先にある収入の現実をできるだけ正直に整理したうえで、「お絵かきクリエイター®」として絵を仕事にしている私が、もうひとつの選択肢についてお話しします。
イラストレーターになる一般的な3つのルート
まず前提として、イラストレーターという職業自体には国家資格や必須の免許はありません。極端に言えば「今日から名乗る」ことも可能です。ただし名乗ることと、それで対価を得られることの間には大きな距離があります。一般的に語られるルートは大きく3つです。
美大・専門学校に進学する
デッサンや構図、色彩理論といった基礎を体系的に学べるのが最大のメリットです。同じ目標を持つ同級生や、業界とつながりのある講師との出会いも得やすい環境です。一方で、学費は決して安くなく、卒業できたからといって仕事が保証されるわけではない点は、進学を考えるうえで押さえておく必要があります。在学中から自分で営業をかけて実績を作る人と、卒業と同時に路頭に迷う人との差は、技術力よりも「案件をどう取りにいくか」を早い段階で意識していたかどうかで分かれる印象があります。
独学で技術を身につける
今はSNSや動画講座、書籍など独学の環境が充実しています。時間はかかりますが、費用を抑えて技術を伸ばすことは十分に可能です。私自身、絵を描く技術そのものは独学でも時間をかければ習得できたはずだと今でも思っています。独学の壁になりやすいのは技術面より、後述する「値付け」の部分です。上手に描けるようになった先に、今度は「いくらで受けるべきか」「どこで案件を探すべきか」という、絵とは別の課題が待っています。
資格は必須ではない
イラストレーター関連の民間資格はいくつか存在しますが、資格がなければ仕事を受けられないという業界ではありません。ポートフォリオ(作品集)が実質的な「資格」として機能しているのが実情です。だからこそ、資格の有無より「その資格や肩書きが、値付けや案件獲得にどう効くか」で選ぶ視点が大事になります。名乗るための資格と、値付けの根拠になる資格は、まったく別の役割だと考えておくと選びやすくなります。
| ルート | 期間の目安 | 身につくこと | 案件獲得のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 美大・専門学校 | 2〜4年 | 基礎技術・人脈 | 学校次第で差が大きい |
| 独学 | 人による | 技術(値付けは別課題) | 自力での営業が前提 |
| 認定資格+協会所属 | 数ヶ月〜 | 技術+価格の基準 | 基準単価が最初からある |
イラストレーターの仕事内容は、絵を描くことだけではない
絵を描く以外にも、仕事には多くの工程がある
「イラストレーター」と聞くと絵を描く作業だけを想像しがちですが、実際の仕事内容にはそれ以外の工程が多く含まれます。依頼主から要望をヒアリングし、ラフ案を提示して修正を重ね、納品形式を整えて請求書を発行する——ここまでが一連の業務です。会社員のイラストレーターであれば営業や請求の部分は会社が担いますが、フリーランスの場合はすべて自分でこなす必要があります。
その工程をこなせるかが、続けられるかを左右する
この「絵を描く以外の工程」をどれだけ自然にこなせるかが、フリーランスとして続けられるかどうかを大きく左右します。技術力の話ばかりが注目されがちですが、実務では意外とここでつまずく人が多いというのが実感です。
独学・個人受注で活動した場合の、正直な収入のリアル
イラスト一枚の相場はいくらか
「イラスト ココナラ」「イラスト 相場」「イラスト ランサーズ」といったキーワードで実際に検索してみると分かりますが、個人のスキル販売サービスでは、SNSアイコンなら数百円から、キャラクターイラスト一枚でも数千円という価格帯が中心の相場です。動画にイラストを使うホワイトボードアニメーションのような制作物でも、同じ個人スキル販売の市場では1万円程度からという水準で取引されています。技術を身につけても、この価格帯の中で戦うことになるのが独学ルートの現実です。
もちろん実績を積んで指名で依頼が来るようになれば単価は上がっていきますが、それまでの間は「安くても数をこなして実績を作る」というフェーズを避けて通れないサービスが多いのも事実です。
「絵の仕事」の年収で語られる水準
求人サイトの募集要項や職業紹介の情報を見ても、イラストレーターという職種は、他の専門職と比べて年収が高い部類として語られることは多くありません。フリーランスであれば案件数と単価次第で幅は大きくなりますが、単価が数千円の案件を積み重ねる働き方では、件数をこなしても収入が頭打ちになりやすいというのが正直なところです。「絵では食べていけない」という言葉が繰り返されるのは、才能や努力の問題である以上に、この単価構造そのものに原因があると私は感じています。
なぜ個人で受注すると価格競争に巻き込まれやすいのか
クラウドソーシングやスキル販売サービスは、誰でも参入できる分、供給が多く、依頼側も相見積もりを取りやすい市場です。技術力が同じくらいであれば、最終的に選ばれる決め手は価格になりがちで、これが「イラスト一枚数百円」という相場が形成される構造です。独学でどれだけ技術を伸ばしても、この市場に居続ける限りは同じ土俵で勝負することになります。私が「お絵かきクリエイター®」として絵を仕事にする道を選んだのは、この価格競争の外側に基準を持ちたかったからです。
| 働き方 | 単価の決まり方 | 収入の伸びやすさ |
|---|---|---|
| 個人でのクラウドソーシング受注 | 市場の価格競争に合わせる | 件数を増やすしかなく頭打ちになりやすい |
| 正社員・契約社員のイラストレーター | 会社の給与テーブル | 安定するが青天井ではない |
| 認定資格+協会の基準単価で受注 | 協会が定める最低単価が土台になる | 案件単価そのものが底上げされる |
「お絵かきクリエイター®」という、もうひとつの選択肢
そもそも「お絵かきクリエイター®」とは
「お絵かきクリエイター®」は、一般社団法人 国際じぶんストーリー協会(ISSA)が発行する認定資格の名称です。認定を受けた人は、ホワイトボードに手描きのイラストを描き足しながら、企業やお店の想い・商品の魅力を一つの物語として伝える「お絵かきムービー®」という動画を制作します。名前だけ見るとイラストの仕事のように思えますが、実際は絵の技術に加えて、ストーリーを組み立てる力が求められる仕事です。
「お絵かきクリエイター®」「お絵かきムービー®」はどちらもスクールの運営会社である株式会社アクアフィールドの登録商標のため、協会の認定を受けていない人が名乗ることはできません。認定を受けるには、このアクアフィールドが運営するクリエイターズアカデミーというスクールでカリキュラムを修了する必要があります。
個人でイラストの仕事を請け負うのと何が違うのか
想像してみてください。個人でイラストを請け負う生活は、常に「次の依頼が来るかどうか」という不安と隣り合わせです。SNSやクラウドソーシングで作品を発信し続け、数百円〜数千円の案件を数こなさなければ生活が安定しません。休みの日も「発信を止めたら仕事が途切れるかもしれない」というプレッシャーがついて回ります。
「お絵かきクリエイター®」として活動する生活は、これとは違います。案件一つひとつの単価が最初から高い水準にあるため、少ない件数でも生活が成り立ちやすく、依頼主の想いをヒアリングしてストーリーに落とし込むところまで、一件ごとにじっくり向き合う時間が取れます。実績が増えるほど口コミで次の依頼が舞い込むようになり、「次の仕事があるか」という不安からも次第に距離を置けるようになります。
「お絵かきムービー®」はイラストではなく、プロモーション動画というカテゴリ
もし単なる説明動画で十分なら、個人スキル販売市場のホワイトボードアニメーションで事足ります。「お絵かきムービー®」がそれと別のカテゴリになるのは、依頼主が伝えたいストーリーを形にする力が加わるからです。この価値が加わって初めて、単なるイラスト・動画ではなく企業のプロモーション予算から支払われる「プロモーション動画」として評価され、結果として市場カテゴリそのものが分かれます。
協会が定める最低単価という基準
ここでもう一つ押さえておきたいのが、協会が定める最低単価という基準です。一般社団法人 国際じぶんストーリー協会は、認定「お絵かきクリエイター®」が企業から案件を受ける際の最低単価を35万円に定めています。個人で活動する場合、動画制作の技術自体はクラウドソーシングの相場(1万円前後)の中で評価されてしまいますが、この基準があることで、そうした価格競争の外に立つことができます。
ただし、協会の名前を借りれば高く売れるという意味ではありません。企業のプロモーション予算に見合う「プロモーション動画」としての完成度と、ストーリーを設計する力を認定した結果として、この基準が設定されています。
認定までのカリキュラムは、案件獲得・納品までを含む
クリエイターズアカデミーのカリキュラムは、絵の描き方だけで終わりません。資格取得後、営業・値付け・案件獲得、そしてクライアントへの納品までがサポートの範囲に含まれています。イラストの技術だけを教えるスクールや、資格取得までしか扱わないスクールとの違いはここにあります。
独学のまま進む場合に、知っておいてほしいこと
誤解のないように言うと、独学が悪いわけではありません。私自身、絵の技術は独学でも伸ばせると考えている一人です。ただ、値付けの基準を持たないまま個人スキル販売市場に居続けると、実績が増えても単価が上がりにくいという壁にぶつかりやすいのは事実です。この壁を早い段階で知っているかどうかで、その後の消耗の度合いはかなり変わってきます。
「お絵かきクリエイター®」に向いている人・向いていない人
誰にでもおすすめできる選択肢ではないと、正直に思っています。向き不向きを整理します。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 絵を仕事にしたいが、価格競争には巻き込まれたくない人 | 趣味として絵を描ければ十分な人 |
| ストーリーを形にすることに関心がある人 | 技術だけを短期間で学びたい人 |
| 営業や案件獲得まで含めて学びたい人 | 初期投資をかけずに始めたい人 |
向いている人の共通点
私が見てきた範囲では、絵を描く技術そのものより「誰かの伝えたいことを形にする」ことに面白さを感じられるかどうかが、続けられるかどうかの分かれ目になっている印象があります。技術は入学後も伸ばしていけるので、今の画力にそこまで自信がなくても始められます。
向いていない人の共通点
反対に、絵を描くこと自体が目的で、営業や案件対応といった「絵以外の仕事」に関わりたくない人には向きません。案件獲得・納品までがカリキュラムに含まれているということは、そこまで含めて学ぶ前提だということでもあるからです。
「イラストレーターになるには」についてよくある質問
Q. 未経験・独学からでもなれますか
なれます。美大や専門学校を出ていなくても活動している人は大勢います。大事なのは経歴より、今のポートフォリオと、値付けの基準をどう持つかです。
Q. 年齢制限はありますか
イラストレーターという職業自体に年齢制限はありません。独学から始める人もいれば、社会人になってから挑戦する人もいます。「お絵かきクリエイター®」として活動する人も同様で、20代から40代以上まで幅広い年代が活躍しています。
Q. 絵が上手ければ食べていけますか
この記事で繰り返し触れてきた通り、技術力だけでは価格競争から抜け出せません。絵の上手さに加えて、値付けの基準をどこに置くかが、収入を左右する大きな要素になります。
まとめ:イラストレーターになる方法はひとつじゃない
イラストレーターになるルートは、美大・専門学校、独学、認定資格と複数あり、どれが正解ということはありません。ただ、独学や個人受注の道を選ぶ場合は、この記事で触れた価格競争の構造を知ったうえで進むのと知らずに進むのとでは、その後の手応えがまったく違ってくると思います。
「お絵かきクリエイター®」についてもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。


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